和田敏克(わだ・としかつ)

1966年生まれ。早稲田大学法学部卒。岡本忠成監督の アニ メーション映画「虹に向って」「リスのパナシ」などに憧れ、1991年、電通プロックス(元・電通映画社)入社。映像企画演出部に所属し、実写作品 を数本手がけた後、1996年、独自の手法によるアニメーション作品「企業人の分かれ道」(薬物乱用防止PRビデオ)を制作。2000年より、NHKプチ プチ・アニメ「ビップとバップ」シリーズを開始(現在第四話)。
2003年には、連句アニメーション「冬の日」(川本喜八郎総監督)の解説・メイキングパート「冬の日の詩人たち」を担 当。
2005年、アニメ創作グループ“G9+1”にプラスワンとして参加、10名の作家による共著「クリ エーターのアニメ術」を、キネマ旬報社より上梓。G9のメンバーは、一色あづる、大井文雄、吉良敬三、島村達雄、鈴木伸一、西村緋祿司、ひこねのりお、福 島治、古川タクの各氏。
また同年、絵本作家・荒井良二氏原作による「スキマの国のポルタ」の脚本演出とアニメーションを担当。単 なる原作のアニメーション化ではなく、切り紙と美術を全て荒井良二氏本人が描き、片岡知子氏のプレスコアに合わせて和田が動かすという、ユニークなスタイ ルのTVアニメーションとなる。同作品は文化庁メディア芸術祭において優秀賞を受賞。
日本アニメーション協会常任理事。日本アニメーション学会事務局長。
東京造形大学特任教授。東京工芸大学非常勤講師。第16回文化庁メディア芸術祭審査委員。



《作品履歴と解説》

2011「渚にて (G9+1作品『tokyoSOS』)」
(音楽/丸山和範)
…脚本・演出・アニメーション
《解説》
G9+1オムニバス『tokyoSOS』の中の一篇。丸山さんの不思議な楽曲が、とてもエキゾチックで
ミステリアスなムードを作ってくれていて、我ながら珍しく、ちょっと、気に入っています。
アンパンにグレゴリー・ペックをやってもらいました!


2010「プチプチ・アニメ/鬼警部アンパン2」
(音楽/鴨宮諒)
…脚本・演出・アニメーション
《解説》
くるみ割り人形! 何となく、ステージでのミュージカルを、やってみたくって…。
また鴨宮さんの<アンパン節>が炸裂!しかも、チャイコフスキー! 本当に、好きなんです…。


2009「お嬢ちゃんと泥棒 (G9+1作品『穴』) 」
(音楽/島 健)
…脚本・演出・アニメーション
《解説》
G9+1オムニバス共作『穴』のなかの一篇。島健さんとの作業は、とても楽しくアイデアに溢れたもの
となりました。アニメーション側は好き勝手に作っただけなのですが、島さんは、あの作業を十人分!
すごいエネルギーと、その懐の限りない深さにビックリ。十人十色に続いて、またテックス・アヴェリーの
『逃げてはみたけど』を参照したカットがあります。好きなので…。


2009「プチプチ・アニメ/鬼警部アンパン1」
(音楽/鴨宮諒)
…脚本・演出・アニメーション
※第13回文化庁メディア芸術祭・審査員推薦作品
《解説》
ビップとバップからの<勝手にスピンオフ>作品です…。Martiansたちも、もう一度
動かしたくて、ゲストで登場させました。鴨宮さんの楽曲、最高です!


2008「Camouflage - 蒼井優 x 4つの嘘」
(Creative Director/高崎卓馬、Producer/多田真穂)
※WOWOW番組内ロゴキャッチアニメーション

…絵コンテ・演出・アニメーション
《解説》
蒼井優さんをフィーチュアしたWOWOWの同番組用キャラクターロゴのキャッチ。
高崎卓馬さんから基本的なパターンとキャラクターロゴを提示してもらい、
4つの嘘(エピソード)の扉として、4パターン作りました。楽しいお仕事でした。
あ、番組メインタイトルのロゴも、アニメさせてもらいました。地味ですけれど。


2008
「文芸社ビジュアルアートCF/タイトル 篇」
(Creative Director/山本渉・高崎卓馬、Producer/多田真穂、音楽/片岡知子)
※WEB用アニメーションCF

…演出・アニメーション
《解説》
山本渉 CDのコンテを動画・演出させてもらったCFです。シンプルな画面ですが、
テロップ文字も手書きでトレースしたものを切り紙として構成し、置き換えながら
ブルブルさせたりしていますので、なんかやたらと手間をかけてしまいました。
作曲として、ポルタコンビ、片岡知子さんに参加していただけました。


2007「Ten Little Martians - 十人十色のアニメーション」

(音楽/片岡知子)
※G9+1『十人十色のアニメーション』展・オープニング

…絵コンテ・演出・アニメーション



2006「やぐちひとり - オープニングタイトル」
(キャラクターデザイン/DEVILROBOTS

※TV朝日「やぐちひとり」オープニングタイトル

…絵コンテ・演出・アニメーション


2005-2007「スキマの国 のポルタ(全13話)」
(作・絵/荒井良二、
音 楽/片岡知子、語り/吉岡秀隆)
※NHK 「プチプチ・アニメ」枠にて放映
…絵コンテ・演出・アニメーション
※ 第10回文化庁メディア芸術祭・アニメーション部門優秀賞


2005「TOKYOファンタジ ア」
(G9+1作品)

…オープニング&タイトル演出・アニメーション
※東京国際アニメフェア・アニメアワード公募作品グランプリ


2004「NHKみんなのうた/ 象だゾウ」
(詞・曲/かねこひろゆき、編曲/たかしまあきひこ、唄/ささきいさお)
…演出・アニメーション


2003「冬 の日の詩人たち」
(「冬の日」解説・メイキングパート)
…脚本・演出・アニメーション


2000-2005「プチプチ・アニメ/ビップとバップ」@〜C
(音楽/鴨宮諒)
…脚本・演出・アニメーション

※アヌシーアニメーションフェスティバル・公式コンペティショ ン入選
※U.S.International Film & Video Festival 2004(アメリカ)シルバースクリーン賞受賞

※アニマ2003(ベルギー)セレクション入選
※アニフェスト2003(チェコ)コンペ入選
※ソウル国際カートゥン&アニメーションフェスティバル2004 (韓国)コンペ入選
※アニマムンディ(ブラジル)コンペ入選
※広島国際アニメーションフェスティバル2002・2004・パノラマ上映
※リモウスキ国際青少年フィルムフェスティバル2004(カナダ)公式コンペ入選
※テメキュラ渓谷フィルム&ミュージックフェスティバル(アメリカ)アニメ部門入選
※文化庁メディア芸術祭・審査委員推薦作品(第5回・第6回・第9回)
 ほか国内外 での上映歴多数
《解説》
実質的デビュー作だと思っています。憧れのプチプチ・アニメでやらせてもらえて、
鴨宮諒さんが作曲を快諾してくださったことの感激は、今でも忘れられません。


1999「老人と海」(A・ ペトロフ監督)
…日本語版台本・演出 (声の出演/三國連太郎、松田洋治)
《解説》
ご存知、
米アカデミー賞、大藤信郎賞、文化庁メディア芸術祭大賞など、数々の
賞を受賞した、
ペトロフ監督の意欲作。単なる“吹替版”でなく、本家プロデューサー
島村達夫さんによる、日露加合作映画の国内向け完成版、ということで、
かなり贅沢な作り方をさせていただきました。この日本語版を担当できたことで、
自身のアニメーションを、いろんな方に見てもらえるキッカケにもなったという、
誠におこがましい話です。
ペトロフによるヘミングウェイの映像化という、今考えると、台詞ひとつにも
多大なプレッシャーを感じなくてはならないお仕事なのですが、
ヤケに怖いもの知らずに出来たのが、よかったと思います。
もちろんオリジナルの完成度と、素晴しい出演者あってのものなのですが、
いま改めて観て、日本語版台本・演出としての後悔も全くありません。
あ、ちなみに、この映画には、アイマックス劇場向けの予告
が存在するの
ですが、この予告篇のナレーション(小林清志さん)が、とてもかっこ良いのです。
ものすごくお気に入りだったんですけど、残念ながら、DVDには収録されませんでした。


1999「太平洋の受難」
(自主)…脚本・演出・アニメーション

※第3回文化庁メディア芸術 祭・最終選 考有力作品
《解説》
ヒートルークの「島」と似ていますが、そもそもは手塚先生の『マンガの描き方』の
無人島マンガの練習問題の解答として作ってみた自主の習作です。
どうしたら豊かな動きになるのか、自分なりの立体感はどうだせばよいのか、
この頃はそればかり考えていました。未だに、その答えは出ていません。


1997「手のひらのアメ」
(福島県/小学校道徳教材用ビデオ)
…演出・アニメーション 
(脚本/ 永倉薫平)
《解説》
福島県の道徳授業のための教材ビデオ。岡本忠成監督作品を担当されていた
永倉
薫平さんの脚本がまずあって、切り紙をもっと発展させたい気持ちもあり、
“やらせてください!”とお願いして作った作品。
実写の情景に切り紙のキャラクターを合成したり、その実写部分に
憧れの小津組の須賀不二男さんに出演していただいたり、頑張ったつもりでは
ありましたが、力量が全く足らず、とても歯がゆい思いをした作品です。

1996「企業人の分かれ道」
(電通/薬物乱用防止PRビデオ)
…脚本・演出・アニメーション

※第1回文化庁メディア芸術祭・最終選 考有力作品
《解説》
現在の自分の原点です。初めての切り紙スタイルのアニメーション作品。
人前に出ることはもうなかろうと思いますが、思い出深いお仕事でした。


1994「緑を見つめて」
(大宮市/実写・オムニマックス)
…脚本・演出
《解説》
大宮市宇宙劇場オムニマックスシアターのための大型映像。
デビューは実写でした。ドラマ仕立てで、かなり無理のある“大宮市紹介映画”です。
この頃はとにかく編集でフィルムをいじれるのが楽しかった。


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